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真剣を抜くだけに真剣。

士道
12 /24 2018
先週末のこと。稽古場では初めて、最初から最後の形まで通しての
真剣稽古を経験させていただきました。

これまで、試斬専用刀の「義治」で何本か試しに形を抜いてみたことはありましたが
公式な稽古で始終通して・・・というのは、今回が初めてで、非常に緊張いたしました。

まず、刀剣調達において、池田美術さんとのご縁があり
古武道の世界に入る以前から、ずっとあこがれていた関の名工「兼元」の刀を
入手する機会に恵まれたことから、すべては始まりました。

↓「兼元」(現在は、鍔と鞘塗りが変わってます)ですが・・・許可を得たので、お店の写真を転載。
貴重刀剣 兼元

関の孫六と称される二代「兼元」は、国宝の刀だと1500万はするらしく・・・
室町から現代まで続く、後代の刀でも、大抵50万~200万以上はしています。
それも、兼元のような人気の銘刀は、鑑定書つきでも贋作が多いと聞いています。

今回、運命としかいいようのないタイミングで、そんな思い入れ深い、銘の入った
念願の御刀を、破格で入手することができました。

↓規格が違う今は、あまり価値もないようですが・・・(日刀保鑑定書)
日刀保鑑定書(旧式ですが・・・)

この兼元を譲り受ける決心をしたのは、古い規格で現在の価値は薄いとはいうものの
日本美術刀剣保存協会が発行している「貴重刀剣」の鑑定書がついていたからです。
上記協会のHPを見るところ、以前の持ち主様がこの鑑定書をいただくには、相当な時間とお金がかかってます;

念のため店主に頼んで、知人の研ぎ師でもある鑑定士にも、鑑定を依頼してもらいましたが
そちらでも間違いなく、江戸時代あたりの「兼元」であろう、と刀銘のお墨付きをいただきました。

↓本物?と思われる後代の銘。
本物らしき銘。

銘が切られた刀は偽者が多い、とのことですが、二件の鑑定で本物と言われたなら
それを認めて買ってもよいかと思い・・・何年後かに自分専用の注文打ちをつくろうと
貯めていたお金を工面し、少し無理をして購入いたしました。

予定外の出費でしたが、この機を逃すと、二度とこんな価格では購入できないと感じたので
頑張って入手して、本当によかったと感じています。

特筆すべきは、この兼元の刀身に対して、重さが1000g少し、という軽さ。
時代物の小さめの金具による、細身の柄の握りやすさ。全体的なバランスの良さです。

私の昭和刀「義治」の刀身は、兼元より3cm以上短いにもかかわらず、柄は若干太めで
重さも1100g以上あることを考えると、私にとって兼元がいかに握りやすく、扱いやすいか、ということになります。
ただ、自分の身長に対して、長めの刀を自在に抜き差しするには、それなりの技量を要します。

刀身が長くなるほど、抜き打ちがやりにくい。抜刀納刀で気を抜くと怪我しやすい。
鞘引きが下手だと納刀に苦労する・・・という留意点こそありますが
利点としては、刀身が長いと、形の技が大きく映えること。
鞘引きの良い修行となること、長さゆえに間の溜めがつくりやすい、など
むしろ、利点の方が多いように思われます。

居合の上級者になるほど長い刀を好んで使うのは、上記の理由もあります。
私の先生は、身長160cm程度ですが、二尺四寸以上を軽々と扱っています。

時代は浅いとはいえ(江戸としても400年以上前の刀ではありますが)
そんな豪華なつくりの御刀ですから、私はもともと鑑賞用として考えていました。

↓ヤバすぎる美しさの三本杉。
美しすぎる三本杉


しかし、刀身 二尺二寸九分という、普段の居合刀が二尺二寸使いの私には、長めの刀でありながらも
美しすぎる三本杉の刃紋を眺めているうち、どうしても稽古で使いたくなってしまったのでありました;
そして、素振りした結果・・・どうしても居合で実用したくなるほど、使いやすい御刀だったのです。

柄は、上撰の巻き鮫の正絹巻き。
鞘も既製の合わせでなく、本家の一点物としてつくられており
拵えだけでも、価格的には刀身同等かそれ以上の価値があります。

↓金具は江戸期の物?(その後、磨いて錆を落としたので、現在は色が違います。銅製のようです。)
頭側の柄。

超がつくほど神経質に抜いていたこともあり・・・
幸いにも、兼元での真剣初稽古は自傷することなく、無事終了いたしました。
最初は誰しもそんなところかもしれません。
怪我は慣れてきた頃、起こるもの・・・今後も身を引き締めて稽古します。

当たり前ですが・・・「本来居合は真剣で稽古すべき」と、形稽古で真剣を使ってみて、強く感じ入りました。
始めから「斬る」つもりで刀を振るう試斬のとき以上に、刃に神経をつかっていたのは、間違いありません;;
失敗したら斬れる(巻き藁ではなく、自分が)と思うと、緊張感がまったく違いますから・・・。

そこで・・・矛盾するようですが、この兼元をもっと自在に使いこなすために
重さ900g程度の刀身で二尺三寸の居合刀を、新たにオーダーしています。
最近、二尺二寸の刀が軽く感じられていたのと、納刀時の短さが気になっていたこともあり・・・。

この居合刀が出来上がってきたら、失敗の危険を恐れず
思う存分、抜刀、納刀と鞘引きの訓練ができます。
今から来年以降の稽古が楽しみです。

コメント

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兼元

お~~~真剣 買っちゃいましたか!
メチャ カッコイイです。

居合は「本来居合は真剣で稽古すべき」
そうですよね~

現代剣道も刀の観念が不足しているってことです。
自分も上達の為、刀(模造刀)を買って使い方を憶えたいと思うのですが
高そうですねー。
買う決心が、つかないのであります。
くれぐれも怪我の無きように 稽古に励んでください。

空気斬りいいですよ。

>hikaさん

摸擬刀は安いのは2~4万円くらいで買えますが、hikaさんくらいストイックな先生だと
最低でも、4~8万円くらいの厚口刀身買わないと、あとで絶対、素振りで物足りなくなります;

私は初め、軽めの薄口で居合刀を作りましたが、本身の使い心地を知ってしまった今は
厚口で若干、重めに刀身を作り直しています。

稽古上、重すぎず軽すぎず・・・長すぎず短くもない刀が理想です。
自分にとって使いやすい柄(金具の形状)を知ることも、修行のうちです。

お店のおすすめだと、居合刀の柄の長さは、七寸五分~八寸と短めの設定なんですが
剣道出身者は、竹刀の握り方から、柄は長めの八寸五分ぐらいを好むらしく・・・
私もいろいろ試した結果、その長さに落ち着きました。

刀は一点物なので、購入して何度か失敗しないとわからないことも多く
理想の刀探しにハマると、授業料は高くなります。>爆
理由がわからず、高段審査に何度も落ちるのと似てるかも・・・>汗

いつか摸擬刀を買う時は、剣道と居合が両方できる経験者の意見を聞いて
できれば、お店や道場で、いろんな刀を握って振ってみるのが一番いいと思います。

お互い身体を大事にして、長く稽古していきましょう。

五島 鎧影

「義より上に道はあるなり。これを見付くる事 容易に成りがたし。」
(葉隠 聞書第一)